コラム

8.牛の健康性~総合的に評価する

牛の健康性指標として、BCS、RFS以外にも、糞(マニュア)スコアがあります。

これは、糞の性状から消化を判定する手法です。

スコア1=下痢
スコア2=軟便
スコア3=パイ状(搾乳牛の標準)
スコア4=やや硬い便(乾乳牛の標準)
スコア5=かなり硬い便(腸管における水分吸収の亢進、便秘)

また、軟らかさだけはなく、色(血便、黒色便)、臭い、気泡や剥離した腸粘膜(ムチンキャスト)の有無も観察します。

スコア2以下(軟便~下痢)が多い場合、飼料の通過速度が速い、細菌やウィルスの感染あるいは変敗飼料やカビ毒による消化不良が示唆されます。

また、気泡、ムチンキャストの存在は、潜在性ルーメンアシドーシス(SARA)によるデンプンの過剰発酵と腸粘膜の剥離を示唆します。

この場合、穀類(デンプン)と粗飼料のバランスや、粗飼料の切断長を検討する必要があります。

糞スコアも、デーリイ・ジャパン誌2020年4月号に、写真や判定基準を掲載しているので、参考にして下さい。

BCS、RFS、マニュア(糞)スコアを計測し、さらに、毛づや、活気(目つき)、残飼量などを観察することで、その牛群の健康性がみえてきます。

また、牛群検定成績やバルク乳成分(乳脂肪率、乳タンパク質率、MUN等)を閲覧できれば、より正確に評価できます。

つまり、特定の項目だけを調査せず、総合的に調査することが重要です。

たとえば、BCSは適正でも、RFSが低く、糞スコア2(軟便)が多く、乳脂肪率が低下していれば、潜在性ルーメンアシドーシス(SARA)が疑われます。

この場合、BCSだけを調査していると、SARAを見逃すかもしれません。

さらに、飼養管理と乳房炎の関連を示す実例を紹介します。

静岡県のA農場において、糞性状、毛づや、バルク乳成績から濃厚飼料過剰を疑い、1頭あたり給与量を1~2kg減らしました。

その結果、搾乳法を変えることなく、バルク乳体細胞数が15~20万個/mlから10万個/ml以下に低下しました。

このように、牛の健康性は乳房炎に影響するため、飼養管理を評価し、改善を図ることは、乳房炎防除の上でたいへんに重要です。

そのため、私は乳房炎防除管理プログラムを実践する際、飼料会社の方にも参加を依頼し、共同で調査を行っています。

このように支援チームを結成し、複数の視点で作業することは、調査の精度を向上させます。

また、生産者への提言を一本化できるため、生産者はさまざまな意見にまどわされることなく、対策を実施できます。

次回からは、「方法(搾乳法、治療法)」について、解説します。

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