コラム

6.牛の健康性~BCS

搾乳工程にインプットされるものは、「牛」および「搾乳資材」です。

通常、「搾乳資材」は酪農専用の製品を説明書通りに使用すれば、問題が生じることは、まずありません。

一方、「牛」については、農場ごとに管理の状況が異なります。

一般に、飼養管理が不適切で、代謝疾患などが多発する牛群では、乳房炎も多くなります。

つまり、「牛の健康性」は、乳房炎に大きく関与します。

今回は、「牛の健康性」の指標のうち、ボディ・コンディション・スコア(BCS)について説明します。

BCSはエネルギー出納を評価する古典的な指標です。

近年は後躯の3点(腰角~坐骨~寛骨)を結んだ形状がU字かV字かを中心に判定するUV法が普及しています。

V字であれば3.0以下で、さらに腰角や坐骨端の肉付き具合により0.25刻みで評価します。

U字であれば3.25以上で、仙座靱帯等の見え方で、さらに0.25刻みで評価します。

(デーリイ・ジャパン2020年3月号  P25に、伊藤沙智さんという方が書いた、たいへんにわかりやすいイラストが掲載されています。)

昔から、BCSは個人差のあることが指摘されてきました。

私は、過度にBCSの正確性にこだわる必要はないと考えています。

むしろ、泌乳ステージにあわせて適正に推移しているか、標準範囲を逸脱した個体がどれくらい存在しているかを把握することが重要と考えます。

農場を訪問し、一定数の牛のBCSを測定したら、泌乳ステージごとに区分します。

一般に、泌乳最盛期で、BCS2.5以下(痩せすぎ)15%以下、泌乳後期でBCS3.75以上(太りすぎ)10%以下が標準です。

この標準と測定結果を比べることで、給与エネルギーの過不足(とくに、配合飼料やコーンサイレージ等の高エネルギー飼料の給与が適切か)を、評価できます。

なお、どうしても泌乳ステージごとに区分できない場合は、群全体のうち、BCS2.5以下(痩せすぎ)と3.75以上(太りすぎ)の頭数割合だけをみる場合もあります。

泌乳ステージを考慮しないため、やや不正確ですが、おおむね群としてのエネルギー不足あるいは過剰を評価することはできます。

BCSについては、デーリイ・ジャパン4月号に、写真等を掲載していますので、参考にして下さい。

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