当クリニックが実践する「乳房炎防除管理プログラム」について、解説します。
まず、CAPDo(キャップ・ドウ)という言葉から説明します。
PDCAサイクルという言葉は聞いたことがあると思います。
Plan(計画)→Do(実施)→Check(検証)→Act(改善)という4つの言葉の頭文字をとったもので、「継続的改善」とも言います。
PDCAサイクルは、企業のみならず、教育や行政の現場でも広く取り入れられています。ISO22000や農場HACCPといった認証でも、重視されています。
しかし、PDCAサイクルにも、問題点があります。
よくある例として、現場の状況をよく分析せずに「計画」を立ててしまい、つまづくケースが結構、あります。
そこで、Check(現状の分析)→Act+Plan(改善計画)→Do(実施)→さらなる改善…、というCAPDo(キャップ・ドウ)というサイクルが提唱され、企業などで実践されています。
この手法は、Check(現状の分析)から入るので、問題解決の手法として優れており、乳房炎防除にも適しています。
「乳房炎防除管理プログラム」は、このCAPDoに基づいて策定されています。
具体的には、以下のステップで実施します。
1.総合的な分析
その農場における乳房炎の要因はなにか、①人 ②牛 ③方法 ④施設と環境 ⑤評価系の5つの視点から調査・分析します。
2.リスク評価
調査結果から提起された乳房炎の要因について、リスク評価を行い、重みづけを行います。その上で、改善実施の容易さ/困難さを加味して、優先度を明確にした改善策を提案します。
3.改善の実施と効果判定
農場ごとに目標を立て、改善を実施するとともに、目標への達成度を指標(モノサシ)にして効果を判定します。効果が不十分であれば、さらなる改善を考えます。
総合分析とリスク評価を核として、改善を積み上げることで、乳房炎を制御できる仕組みになっています。
それでは次回、ステップ1 「総合分析」について解説します。