第4章2.(2)③④では、ハザード分析の結果に基づいて、一般的衛生管理プログラムで管理するか、HACCP計画で管理するか、選択するよう、求めています。
一般的には、ハザード評価(数値等)の大きさに準じて、一般的衛生管理プログラムで管理するか、HACCP計画で管理するかを決めます。
(例)ハザード評価(重篤性×発生確率)6以上=HACCP計画で管理
ハザード評価 4以下=一般的衛生管理プログラムで管理
ただし、重篤性3、発生確率=1(あるいは重篤性=◎、発生確率=△)であったとしても、万一、発生した場合の影響を考慮して、HACCP計画で管理する場合もあります。
要は、管理手段の選択根拠が明確であればよいのです。
なお、認証基準には、「HACCP計画又は一般的衛生管理プログラムで扱うとした理由は何か」と書かれています。つまり、ハザード分析ワークシートにおいて、選択の理由がわかるよう、書かれていることが望まれます。
その点を考えると、解説書の例は、この部分の記述がやや不足しています。
解説書のハザード分析ワークシート(例)のうち、乳用牛の部分は、私が作成しました。乳用牛の例でも、管理手段選択の理由が不十分です。
そこで、反省を込めて、今回、さまざまなハザード分析ワークシートの例をインターネット等で調べ、農場HACCPに適合する書式を検討しました。
その結果、多くの例では、以下のプロセスで管理手段を決めていました。
1. 重大なハザードか(特別な管理が必要か)?
多くの軽度ハザードは、この段階でNo.となり、特別な管理ではなく、一般的衛生管理プログラム(作業手順書や動線図)で管理できると判断されます。
(そのためにも、第3章~第4章で、一般的衛生管理プログラムを確立しておく必要があります。)
2. 重大な(特別な管理を必要とする)ハザードであるとした場合、その管理手段はあるか?
質問1でYes.となった場合、農場で適切な管理手段があるかを、質問2で聞いています。
適切な手段があれば、その工程は必須管理点(CCP)となり、HACCP計画を策定して管理することになります。
なお、重大であり、なおかつ、農場で適切な管理手段がないハザードがあるかもしれません。
その場合は、フードチェーンの後工程(食品工場での加熱殺菌など)で管理することになります。
ただ、そのようなケースはあまりないと思います。
なお、第4章2.(2)⑤で、「実施可能で効果的な手段があるか、具体的にどのような手段か。」とありますが、質問1、2において、ハザードの管理手段を具体的に記載することが、この要求事項を満たすことになります。
認証基準では、列挙したハザードと管理手段のみ、文書化を求めています。
そのため、現行の解説書(例)も大きな逸脱ではありません。
しかし、より認証基準に適合する「ハザード分析ワークシート(例)」を作ってみました。
参考にして下さい(クリックすると図が大きくなります)。
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