HACCPとは、”Hazard Analysis Critical Control Point(危害要因分析・必須管理点方式)”の頭文字をとった言葉です。
つまり、危害要因分析(Hazard Analysis)は、HACCPの主要部分です。
まず、危害要因(ハザード)とは何か、説明したいと思います。
危害要因(ハザード)とは読んで字のごとし、危害(Harm)を起こしうる要因のことです。より正確には、「健康に悪影響をもたらす可能性のある食品中の物質または食品の状態」と定義されます(コーデックス委員会、食品衛生の一般原則)。
ハザードは生物的、化学的、物理的の3つに大別します。生物的ハザードは病原微生物、化学的ハザードは動物用医薬品、物理的ハザードは注射針などの異物が該当します。
農場HACCP認証基準第4章2.(1)では、まず原材料や生産工程におけるハザードの列挙を求めています。
「その工程で,管理をしっかり行わなかった場合」を想定すると、ハザードを抽出しやすくなります。
たとえば…、「バルク乳の冷却・保管」工程で、温度管理をしっかり行わないと、病原微生物が増殖し、食中毒(危害)の発生につながります。つまり、「バルク乳(原乳)中の病原微生物の存在」がハザードとして挙げられます。
次に(2)①~⑤では、ハザード評価と管理手段決定のプロセスが記述されています。
①、②では、その工程において,どのような状況下で危害が発生し、管理条件によって、危害が増大するか、あるいは制御されるかを考えるよう、求めています。
たとえば、上記の「バルク乳冷却・保管」の例では、適切な温度監視を行わないと、病原微生物の増殖による「食中毒(危害)」の可能性が増大します。
一方、適切な管理条件、たとえば定点の温度監視を行えば、病原微生物の増殖による食中毒(危害)を低減できます。
③では、ハザードによってもたらされる危害の大きさ(重篤性)や、頻度(起こりやすさ)を評価するよう、求めています。
そして、③、④では、ハザード評価に基づいて、一般的衛生管理プログラムで管理するか、HACCP計画で管理するか、決めるよう,要求しています。
⑤では、具体的な管理手段の有無を検討し、それを記述するよう、求めています。
流れを整理すると…、 各工程のハザードを列挙 → どのような時に危害を生じるかを考慮 → ハザード評価 → 管理手段の決定 →具体的な手段を記述、といった手順で「ハザード分析」を行います。
次回より、上記のハザード分析の手順について、順に説明していきます。