農場HACCPの審査で、「一般的衛生管理プログラムとは何ですか」と聞くと、「?」という返答によく遭遇します。
「一般的衛生管理プログラムとは作業手順書(作業分析シート)や動線図のことで、そこで書かれた作業内容が法規制にマッチしているかを確認したり、定期的に検証することを含めて、一般的衛生管理プログラムの確立といいます。」と説明すると、たいてい理解してくれます。
「では、一般的衛生管理プログラムをどのように検証していますか。」と聞くと、再び「?」となります。
つまり、一般的衛生管理プログラムが何かを理解していないので、その検証といっても何を指すのか、よくわからないのです。
実は、たいていの農場は、「一般的衛生管理プログラムの検証」を実施しています。
たとえば、以下の事例が該当します。
・HACCP会議(月1回)でバルク乳体細胞数をチェックする
・コンサルタント獣医師が来て、豚舎を巡回し、豚の健康性や抗体価の推移を評価する
・毎月、育成牛の事故率を確認する
・家畜保健衛生所による飼養衛生管理基準の巡回を受け、違反がないことを確認している
上記の例は、すべて一般的衛生管理プログラムの検証に該当します。
つまり、一般的衛生管理プログラムの検証とは、「策定したプログラムがきちんと機能して、家畜・家禽の健康性や畜舎の衛生が保たれているか、あるいは法規制への違反がないかを確認する作業」といえます。
このことを踏まえて、いつ、どのように検証を行うか、文書化しておきます。
一般的には、HACCP会議(月1回)や内部検証(年1~2回)で行う場合が多いと思います。
なお、第4章1.(3)では、「一般的衛生管理プログラムの維持管理のための活動は文書化すること」とあります。
つまり、「作業手順」や「原材料」を変更した場合、HACCPチームの掌握→関連文書の更新といった手順を文書化しておくことが必要です。
また、一般的衛生管理プログラムの「検証計画」および「検証→改善の手順(検証結果をどのように活用するか)」も、文書化する必要があります。
ちなみに、参考ですが…、
ISO22000:2005では、7.2.3において、「前提条件プログラム(一般的衛生管理プログラムとほぼ同義)は、文書で規定することが望ましい(should)」と書かれています。つまり、要求事項ではなく、推奨事項になっています。
しかし、農場HACCP認証基準第4章1.(3)では、「文書化すること」と明記されているので、「一般的衛生管理プログラムの維持管理」について、文書化しておく必要があります。