農場HACCPでは、第3章4.(2)現状作業(工程内及び日常定期・不定期作業)の明確化として、作業の目的、目的の阻害要因、使用資機材、作業手順などを文書化することが要求されています。
また、作業手順は、「準備作業・実施する作業・実施後の作業」に分けて記述することが求められます。
これらの要求事項を満たすには、解説書の例にあるような「作業分析シート」を作ることになります。
認証基準には、工程内作業、日常および定期・不定期作業について、明確に定義されていません。そのため、「工程内作業とは何か、日常作業と定期作業はどう違うのか?」といった疑問をよく聞きます。
私は以下のように理解しています。
家畜・畜産物の生産に関わる主な工程をフローダイアグラムに記述し、それを「工程内作業」とします。
それ以外の作業は、「日常、定期・不定期作業」とします。
日常作業と定期作業の区分は(定義されていないので)、実はよくわかりません。そこはあまり気にしないでよいと思います。
区分はどうあれ、網羅されていればよいと思います。
そして、工程内、日常、定期・不定期作業のすべてについて、「作業分析シート」を作成することが、「現状作業の明確化」になります。
なお、上記の考え方は農場HACCP認証に独特のものです。食品業界のHACCPでは、詳細なフローダイアグラムを作成し、その1工程ずつハザード分析を行うことが、一般的に採用されています。
私が経験したISO22000:2005にも、「作業分析シート」という記述はありませんでした。
そのため、農場HACCP認証基準が発表され、解説書の作成委員会が発足した当時、作業分析シートの定義や、フローダイアグラムとの関係性について、議論を重ねたことを憶えています。
しかし、現状の農場HACCP認証基準は、「工程内作業、日常および定期・不定期作業」に区分して、「作業分析シート」を作成する仕組みになっています。そのため、それを理解して、文書構築を進めることになります。
次回は、「作業分析シート」について、説明します。