コラム

第3章 フローダイアグラムをどこまで詳細に書くか?

食品工場のHACCPでは、かなり詳細なフローダイアグラムを作成するのが普通です。そうしないと、複雑な工程を有する工場では、適確なハザード抽出や必須管理点(CCP)特定ができないためです。

一方、畜産においては、たとえば複雑な搾乳工程を有する乳用牛では、フローダイアグラムを詳細に作成する必要がありますが、ブロイラーや肉用牛は比較的、簡易なフローダイアグラムで対応できると思います。

解説書(例)を見ると、肉用牛、採卵鶏、肉用鶏(ブロイラー)では、生産工程全体を大まかに網羅するフローダイアグラム1枚のみを作成しています。

一方、乳用牛では(私が担当しましたが)、農場の作業全体を俯瞰的に整理したものと、その一部である「搾乳後作業」のフローダイアグラムを掲載しています。

どの程度まで詳細にフローダイアグラムを書くか、一概に言えませんが、私は「自分たちの作業を理解するのに役立ち、ハザードの抽出漏れを起こさず、なおかつ管理しやすいこと」を目安に、農場側と話し合いながら作っていくことが妥当だと考えています。

実際、詳細すぎるフローダイアグラムは後の管理が大変です。農場では作業手順の変更は普通に起こるので、それに対応できることも必要だと思います。

一方、「フローダイアグラムは1枚でよい」と主張する方もいますが、そのように決めつけるのも、やや柔軟性を欠くと思います。

同じ畜種でも、農場によって畜舎構造や作業工程がちがうので、フローダイアグラムを1枚にまとめることがベストとは限りません。

結論ですが…、その農場や畜種に合わせて、必要な枚数のフローダイアグラムを書けばよいし、管理が大変と思ったら簡易にすればよい。一方、ハザードを特定する上で、ちょっと足りないと思ったら、書き足せばよいと思います。

実際、私が支援した農場でも、更新審査を経て、フローダイアグラムを簡易化した経験があります。

あまり、決めつけず、柔軟に改善していくことこそ、PDCAサイクルだと思います。

赤松ファームクリニック

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