今回は、フローダイアグラムについて解説します。
フローダイアグラムとは、原料の受入から出荷までの流れを分かりやすく、イメージできるように工程を書き出したものを指します。
日本語訳としては、製造工程図と呼ばれます(農場HACCP認証基準では、工程一覧図と記述されています)。
HACCPでは、フローダイアグラムに基づいて、ハザード分析を実施するため、正確かつ綿密にフローダイアグラムを作成する必要があります。
そのため、ISO22000:2005では、7.3.5.1において、a)~e)の5項目に分けてフローダイアグラムの要件を記述しています。
具体的には、外部発注(アウトソース)した工程や、最終製品の出荷工程、あるいは危険な可能性のある製品の廃棄工程まで明確化するよう、求めています。
一方、農場HACCP認証基準では、第3章4.(1)で「すべての作業工程の順序及び相互関係並びに原材料・資材が使用される工程の段階を図式化した工程一覧図を作成しなければならない」と、2行に収まって記述されています。
私は前の職場(静岡県畜産技術研究所)で、酪農施設におけるISO22000認証取得に取り組み、その経歴から農場HACCPの普及推進にたずさわりました。
そのため、農場HACCPにおけるフローダイアグラムの扱いが、ISO22000に比べて簡易だなと、率直な感想を持ちました。
詳細なフローダイアグラムを作成すれば、ハザードの抽出漏れを防ぐことができますが、作成や更新管理が大変です。
一方、簡易なフローダイアグラムは管理が容易ですが、ハザードの抽出漏れを起こす可能性があります。
また、複雑な搾乳工程を有する乳用牛では、ある程度、精密なフローダイアグラムが必要ですが、複雑な工程が少ないブロイラーや肉用牛では、それほど精密なフローダイアグラムは必要ないかもしれません。
実際、解説書を見ると、畜種ごとにフローダイアグラムの形式や精密さがちがっています。
では、どの程度まで、フローダイアグラムを詳細に作成すればよいか、次回、考えていきたいと思います。