コラム

第3章 家畜・畜産物の特性を記述する目的

ISO22000:2005 7.3.3.2を見ると、「最終製品(出荷する家畜・畜産物)の特性は、ハザード分析を実施するために必要となる範囲で、記述すること」と書かれています。

そして、具体的な記載事項は、以下7つになっています。

a)製品名

b)組成

c)食品安全に関わる生物的、化学的および物理的特性

d)賞味期限と保管条件

e)包装

f)食品安全上の表示や取り扱い、調製、使用方法の説明

g)配送方法

農場HACCP認証基準の要求事項と、ほぼ同一ですね。

ただ、ISO22000では、7.3.3.2「最終製品の特性」の冒頭部分に、「ハザード分析を実施する上で必要となる範囲で記述すること」とあり、ハザード分析のために、最終製品の特性を記述するのだとわかります。

実は、農場HACCP認証基準でも、第3章の冒頭に「第4章で記述される危害要因分析の準備作業として…」と書かれてあり、「原材料・資材リスト」も、「製品説明書」も、ハザード分析のための事項であることがわかります。

しかし、解説部分にハザード分析との関連性が書かれていないので、ややもすると、「最終製品の特性(製品説明書)」は、農場HACCP認証の中で、”浮いた存在”になりがちです。

では、どのように記述して、活用すればよいのか。

私は、ISO22000(国際規格)との整合性を考慮して、農場HACCP第3章 2.(1)家畜・畜産物の特徴・特性は、「食品安全に関わる生物的・化学的・物理的特性」を明記すべきと考えます。

それにより、自農場で生産された家畜・畜産物の「出荷段階での安全基準」が明確になります。

そして、それを実現するために、一般的衛生管理プログラムやHACCP計画を策定していくのです。

より具体的には、ハザード分析において、抽出されたハザードの重篤性や影響を評価する際の指標(モノサシ)として活用します。

たとえば…、

酪農場のHACCPで、生乳(最終製品)の特性として「バルク乳体細胞数〇以下、細菌数△以下」「臨床型乳房炎を混入させていない」と規定し、低温殺菌牛乳として流通・消費されているとします。

「前搾り(乳房炎乳の検知)」工程の危害要因分析で抽出された「前搾り時のブツ見逃しによる乳房炎乳の混入」というハザードは、上記の製品特性に照らして、重大であることがわかります。

一方、乳牛の給餌工程で抽出されたハザード「不適切な給餌による牛の栄養不良」は、牛を管理する上では重要ですが、製品特性からみて、食品安全上の重大なハザードではありません。

そのため、一般的衛生管理プログラムとして、飼養管理手順の文書化や、BCSモニタリングを行うことになると思います。

このように、第3章2.「家畜・畜産物の特性」は、ハザード分析の指標として活用することを、ご理解ください。

 

 

 

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