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ハザードとリスク~フグの例え話

HACCPとは、”Hazard Analysis Critical Control Point(危害要因分析・必須管理点方式)”の頭文字をとった言葉です。

つまり、Hazard(危害要因=危害を起こしうる要因)を分析することが、HACCPを構築する上では、重要な作業になります。

では、ハザード(危害要因)とリスクは何が違うか?

日常的にも、「そのやり方はリスクが高いよ」など、リスクという言葉は定着しています。しかし、ハザードは、一般的には聞き慣れない言葉です。

言葉の定義は、(要約すると)以下になります。

・ハザード=危害を起こしうる要因

・リスク=ハザード(危害要因)によって起こる危害の”重大さ”と、”起こりやす 

     さ(発生確率)”の積、つまり「危険度」を指す

なんとなく、わかったでしょうか?

やはり、具体例がないと、わかりにくいですね。

そこで、この分野に詳しい関西学院大学 山崎名誉教授の言葉を引用します。

https://www.ajinomoto.co.jp/products/anzen/know/risk_01.html

同教授曰く、「泳いでいるフグ=ハザード。そして、ヒト用にフグを調理する状況で、初めてリスクが生じる。」 

フグ自体は、フグ毒(テトロドトキシン)を持っており、食中毒の危害を起こしうる要因になります。つまり、ハザードです。しかし、泳いでいるフグは、ただちにヒトへの危害を生じません。

ヒト用にフグを調理するという状況になって、初めてリスクが生じます。そして、調理師免許の有無がリスクの大きさに影響します。調理師免許を持った料理人のいる料亭でフグを食べれば、リスクは極めて低いでしょう。

しかし、無免許で調理したフグは、リスクが心配で食べられません。もちろん、法律にも抵触します。

私は、この例え話で、ハザードとリスクの関係性がすっきりとしました。

そして、これを農場HACCPのハザード分析に、試みに応用しました。

農場HACCP認証基準解説書(H22~30年度版)における、乳用牛のハザード分析の例は、私が執筆しました。そこで使われている事例を用いて、新しいハザード分析表を作ってみました。

詳細は文末の表を参照下さい。

文字が小さく、見にくいですが、クリックすると、大きくなります。

ただし、リスクという言葉を前面に出すと、労働事故対策等におけるリスクアセスメント(リスク評価)と混同します。HACCPにおけるハザード分析のさまざまな例をネット検索してみましたが、リスクという言葉はほとんど使われていませんでした。

そこで、リスクではなく、「危害」という言葉を用いました。

具体的には、危害要因の抽出→(危害要因に起因する)危害が起こる状況→危害の評価→管理手段、というプロセスでハザード分析を行いました。

危害が起こる状況を書くことで、どのような状況に対して注意を払うべきか、明確になります。

そして、起こる危害の重大さと起こりやすさ(発生確率)を評価し、その積(危害の大きさ)によって、一般的衛生管理プログラム(作業手順書、動線図等)で管理可能か、HACCP計画で厳格に管理すべきかを決めていきます。

個人的には、試みに改良したハザード分析表で、危害要因(ハザード)と危害の関係性が、よりスッキリしたと思っています。

そして、この手法は、農場HACCPだけではなく、JGAP家畜・畜産物における食品安全・家畜衛生、食品防御、労働安全のリスク評価にも十分、応用できます。

もちろん、このやり方がすべてではありませんし、今後、さらに良いやり方が出てくるかもしれません。

大事なことは、さまざまな情報や知見を収集し、より農場にプラスになるやり方を考えることだと思います。

解説書の例やテンプレートは、認証を構築する際の”足がかり”として便利ですが、それに依存すると発展のきっかけを失います。

そこは十分に注意すべきと思います。

 

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