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ハザードの制御~農場ですべてを管理すべきか?

前回のブログで、ハザードとリスクの違いを、フグの例えを用いて説明しました。

前回、ブログを執筆するにあたり、さまざまなハザード分析の事例をインターネットや文献で検索しました。

その結果、ほとんどの事例では、ハザード管理手段の決定プロセスとして、以下の方法を採用していました。

1.一般的衛生管理プログラム(PRP)で管理可能か?→Yes/No

ほとんどのハザードは危害レベルが小さいので、この段階でYesとなり、一般的衛生管理プログラム(作業手順書、導線図等)で管理することになります。

2.一般的衛生管理プログラムで管理不可(No)の場合、管理手段はあるか?

危害レベルが大きいハザードは、一般的衛生管理プログラムで管理すべきではありません。そのため、そのハザードを管理する有効な手段があれば、それをHACCP計画に整理して明確化します。そして、その工程は必須管理点(CCP)になります。

ここで注意すべきは、一般的衛生管理プログラムで管理できず、なおかつ農場で管理手段のないハザードも存在することです。

たとえば、乳牛の潜在性乳房炎(乳汁の異常を認めず、PL検査等にも反応しないが、乳房炎原因菌が検出される症例)です。ブロイラーにおける潜在的なカンピロバクターの保菌も、該当するかもしれません。

これらの潜在的な疾病は症状を示さないため、農場では発見できません。しかし、フードチェーンの後工程(配送業者や食品工場)で、保冷配送の徹底や加熱・殺菌を行うことでリスクを管理できます。

つまり、フードチェーンの1つである農場で、すべてのハザードを無理に管理する必要はなく、フードチェーン全体で安全を確保できれば、それでよいのです。

これは、農業、食品業に関わらず、HACCPに取り組む上での基本事項です。

ただし、完璧に管理する必要はないにしても、リスクを低減する努力は必要です。たとえば、潜在性乳房炎を減らすための定期的なバルク乳培養検査や、家畜・家禽の免疫性を高めるための飼養環境の整備や生菌剤の投与はたいへん重要な作業です。

総括すると、以下のようになります。

まず、ハザード分析を行う前提として、作業手順書や導線図を整備しておき、ほとんどのハザードを一般的衛生管理プログラムで管理できるようにしておきます。

一方、危害が大きいハザードで、農場で管理する手段があれば、その工程を必須管理点(CCP)として、HACCP計画を策定して管理します。

なお、農場で管理する手段がなく、フードチェーンの後工程で管理できるハザードは、そこに管理を委ねます(ただし、後工程で十分に管理できることを文献や成書で確認し、実際の配送業者や工場に外部コミュニケーションとして聞き取りを行い、管理能力を確認しておくことが推奨されます)。

また、(私は経験がありませんが)、農場で管理手段がなく、なおかつ後工程で管理できない重度のハザードが存在する場合には、農場の生産工程や設備を抜本的に見直す必要があります(あまり、そのようなケースは聞いたことがありませんが)。

上記を考慮すると、「一般的衛生管理プログラムで管理可能か →No.の場合、農場で管理手段はあるか →その工程はCCPか」といったプロセスが管理手段の決定方法として妥当といえます。

農場HACCP認証基準第4章2.「 危害要因分析(2)①~⑤」の要求事項も、大体、上記のプロセスで満たすことができます。

一方、解説書の例は、「危害要因の列挙→危害要因の特徴→危害要因の評価→危害要因の制御手段→CCPか」、となっています。

これ自体、認証基準と大きく乖離しているわけではないですが、一般的な事例とはやや違うプロセスになっています。

また、前回のブログにも書きましたが、ハザードとリスクの違いを考慮し、リスク(危害)が生じる状況を明確にすることで、ハザード分析のプロセスがスッキリとしました。

実は、解説書の乳用牛ハザード分析表(例)は私が執筆しましたが、その時点では、今回のブログに書いたようなプロセスを十分に解説書に反映できませんでした。その反省も込めて、現在、私が考案し、一部、農場で使用しているハザード分析表(例)を前回のブログに掲載しました。

参考にしていただければ幸いです。

なお、前回のブログに掲載したハザード分析表(例)ですが、一部を改変しました。ご興味のある方は、前回ブログ(「ハザードとリスク~フグの例え話」2019.6.3)を参照してください。

前回と今回、フグの例え話を切り口として、ハザード分析について掲載しました。いずれ、”コラム・農場HACCP”で、認証基準第4章にさしかかったら、また知見を整理して掲載したいと思います。

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