農場HACCPなど、マネジメントシステムの審査には「適合性審査」と「有効性審査」があります。
適合性審査とは、文字通り、認証基準に適合しているかチェックすることです。
有効性審査とは、前回のブログでも触れましたが、家畜の健康性や畜産物の安全性を確保するために、農場HACCPが機能しているかをチェックすることです。
審査員は、適合性審査と有効性審査をバランスよく運用することが肝要です。
しかし、現状の農場HACCP審査は、ややもすると適合性審査に偏る傾向があります。
実際、本年度の主任審査員を対象とした力量向上研修(2019年7月)においても、(公社)中央畜産会の講師から、番号違いなど些細な点を、必要以上に多く懸念事項として提起しないよう、勧告がなされています。
審査員は適合性だけではなく、有効性の観点からも審査を行い、機能する農場HACCPに向けて審査所見を提起する必要があります。
そのためには(前回も書きましたが)、方針→目標→家畜・畜産物の特性(安全基準)→仕組み→記録→検証→改善、の流れが整合しているかを点検し、不整合があれば、それを指摘します。
つまり、審査員の役割は「システムの点検」にあります。そのためには、「マネジメントシステム」をよく理解していないといけません。
適合性審査に終始して、番号違いや記載漏れだけを指摘しても、農場にとって価値ある審査にはなりません。
農場HACCPが円滑に機能するよう、「システムのズレ」を指摘することが、審査の価値を高めると思います。
私自身、さらなる研鑽に努め、農場HACCP審査の向上に貢献したいと考えます。