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有効性審査のポイント

前回のブログで、審査には「適合性審査」と「有効性審査」があることを説明しました。

今回は、有効性審査のポイントを説明します。

有効性審査とは、読んで字のごとし、「農場においてHACCPおよびマネジメントの仕組みが有効に機能しているかを審査すること」です。

そのポイントは、方針→目標→仕組み→記録→検証→改善、といったマネジメントの流れが円滑に運用されており、各部門の整合性がとれているかを確認することです。

具体的には、以下のとおりです。

1.方針と目標が合っているか(乖離していないか?)

2.目標と許容水準(製品説明書の特性)は合っているか

               (乖離していないか?)

3.目標や許容水準を実現するための仕組み(システム)になっているか?

4.仕組み(システム)を実施した記録があるか?

5.目標や許容水準を指標(モノサシ)にして、記録を検証しているか?

6.検証の結果、問題が抽出され、さらなる改善を実施した場合、目標や許容

  水準への達成度を指標に改善効果をみているか?

だいたい、上記に沿って審査していくと、その農場における運用の実態が見えてきます。

とくに3.は重要です。

目標を達成するための一般的衛生管理プログラムとHACCPシステムが構築されているか(第3, 4章)、逸脱やトラブルはないか、あるいは発生していても適切に対応しているか(第4, 6章)、さらに衛生管理を適切に行えるよう従事者トレーニングをしているか(第5章)、経営者はそのための業務遂行能力を把握しているか(第2章7.)といった事項をチェックします。

実際は、認証基準の順番に沿って作成した「チェックリスト」に基づいて審査を進めますが、農場側の回答をメモしつつ、上記6項目にあてはめて回答を検証していくと、その農場の問題点が浮かび上がってきます。

その問題点を指摘することが、まさに有効性審査であり、農場にとって価値ある審査と言えるでしょう。

逆に、農場HACCPが有効に機能していない農場を見ると、たいてい、上記6項目に問題点があります。

例として…、

ア.方針には「健康な家畜から安全な畜産物を生産…」とあっても、目標は「肉質等級〇以上、出荷頭数〇頭以上」と生産目標のみで、農場HACCPの意義(食の安全と家畜衛生)と不一致になっている。

イ.目標の設定が不適切で、改善の指標として機能していない。たとえば、「衛生環境の整備を図る」といった目標では、達成度を評価しにくい。

ウ.目標は「〇〇疾病の減少」となっていても、具体的な疾病防除の手順が一般的衛生管理プログラムに記述されていない(=目標と仕組みの不整合)。

エ.従事者の教育・訓練において、家畜飼養や衛生管理を正しく行うための力量評価とそれに基づいた計画が立案されていない。たとえば、外部講師による研修計画のみ立案されているケースが多い。

とくに、初回審査の時点では、農場やコンサルタントも構築に手いっぱいで、上記6項目の不整合が目立つ場合が多くみられます。

審査員は、それらの不整合を丁寧に説明し、効果的な運用をガイドする責任があると思います。

そのためにも、審査員は単に認証基準を学ぶだけではなく、マネジメントの本質や家畜衛生の最近の知見など、広く勉強する必要があると考えます。

赤松ファームクリニック

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