安全な原材料・資材の確保は、安全な畜産物生産の第一歩です。
そのため、「第3章 1. 素畜等の原材料及び資材」では、以下4つについて文書化することが要求されています。
(1)原材料・資材の特徴
(2)原材料・資材の予測される危害
(3)予測される危害の予防措置
(4)原材料・資材の供給者
(1)(4)は一般的ですが、(2)(3)は第4章の危害要因(ハザード)分析と重複します。第4章の危害要因分析に向けて、意識を徐々に高めるという意図もあるようですが、重複になっているのも事実です。
そこで、私は原材料・資材リストで、「受入れ・保管工程」のハザード分析をあわせて行い、重複を解消することにしました。
つまり、原材料・資材リストとして、「自給飼料、休薬期間のある医薬品、搾乳資材…」といった大項目ごとに、「原材料・資材の特徴」を記述し、あわせて「受入れ・保管工程のハザード分析」を実施します(下図を参照)。
(ハザード分析のやり方については、第4章2.のコラムで詳述します。)
さらに、大項目(例:自給飼料、休薬期間のある医薬品…)ごとに、具体的な商品リストを付属させ、そこで各商品の「供給者」と「特記事項」を記述します。
たとえば、同じ抗生物質であっても、「搾乳牛への使用禁止」「生後〇〇齢以下の家畜には使用禁止」といった注意点があれば、特記事項に記載しています。
また、休薬期間のある薬剤については、付属の商品リストで、個々の休薬期間を記載することが推奨されます。
上記の表で、認証基準の要求事項(1)~(4)を十分に満たしています。
また、フローダイアグラム(後述)における原材料・資材の「受入れ・保管工程」のハザード分析を行わなくて済むので、文書の削減になります。
なお、「原材料・資材そのもの」のハザード分析と、「受入れ・保管」のハザード分析 を別々に行うべきとの主張もありますが、私は「原材料・資材そのもの」のハザードは「受入れ」工程で十分に管理できると考えます。
「受入れ工程」において、法的に問題がなく、リスク管理された商品であることを確認するので、「原材料そのもののハザード」は、そこで管理できるわけです。
一方、「保管」工程のハザード分析は、受け入れた後、保管中の事故(有効期限切れや変質など)を防止するために実施します。そのため、「受入れ」と「保管」は分けて管理した方がよいと思います。
いずれにしても、上記の工夫で重複を解消でき、原材料・資材を管理しやすくなります。
この書式で、農場HACCP認証を取得した3農場で、「原材料・資材リスト」を作成しました。
「農場HACCP認証基準解説書」の例にさらに手を加え、スリム化した実例として、参考にして下さい。
(クリックすると、表が大きくなります。)