コラム

マネジメントシステムの優位性

農場HACCP認証基準はISO22000:2005をベースにしており、両者の要求事項は(細かい部分は異なっていますが)、基本的にはほぼ同一です。そして、ISO22000はISO9001のマネジメントシステムを包括しており、農場HACCPもそれは同様です。

マネジメントシステムは、要約すると「方針・目標を達成するために、人・物・金・時間などの資源を最適に活用し、組織(工場、農場など)を維持・発展させていく体系的な仕組み」といえます。

従来のHACCPにおいても、従業員トレーニング(教育・訓練)や経営者の関与は重視されていました。しかし、ISO22000および農場HACCPでは上記のマネジメントシステムが導入されることで、”組織全体の運営の中で、最適に資源(人・物…)を活用して、安全な食品(畜産物)を製造していくこと”が、明確に示されました。

そして、マネジメントシステムでは、組織の維持・発展を可能にする仕組みとして、継続的改善(Plan→Do→Check→Act:PDCAサイクル)が非常に重視されています。

このようなマネジメントシステムを導入した農場HACCP認証基準では、以下の点が優位性として挙げられます。

1.経営者責任の明確化(第2章)

  ① 方針・目標の策定 ②経営者によるシステムの見直しと改善

  ③ コミュニケーションの充実 ④人・設備等の資源の提供と管理…など

2.効果的な教育・訓練の実施(第5章)

  教育・訓練を計画的に(スケジュール化して)実施し、効果を判定して、必

  要に応じて再教育を行うことが規定されています。  

3.評価、改善および衛生管理システムの更新(第6章)

  経営者の関与の下、内部検証や各種の情報分析に基づいて、衛生管理シス

  テムを改善することが規定されています。

上記を実践することにより、農場がより健全に発展することが推察されます。実際、(公社)中央畜産会による事例報告書でも、農場HACCP導入のメリットとして上記の事項が記載されていますし、審査時の経営者インタビューでも上記をメリットとして挙げる方が多くいます。

農場HACCPの発展(2019年4月時点で250戸以上)に、マネジメントシステムは大きく貢献していると考えます。そして、国内外の産地間競争の激化を考えると、農場HACCPは今後も発展していくと思います。

今まで、HACCPの概要から、農場HACCP認証基準の特徴までをコラムに掲載してきました。次回以降は、農場HACCP認証基準の各事項について、経験してきたことや見解を随時、掲載していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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