コラム

HACCPとは、なにか

そもそも、HACCPとは、どのようなものでしょうか?

HACCPは主に1960年代において、アメリカ航空宇宙局(NASA)、アメリカ陸軍および民間会社(ピルスべリー・カンパニー)により、宇宙食の安全性を確保するために開発されました。

従来の製品の安全性検査は、完成後の抜き取り検査で行われていました。しかし、それでは検査対象以外の製品が本当に安全か、わかりませんでした。

そこで、NASAをはじめ、関係機関は生産工程の管理に着目しました。原材料の受け入れから製品出荷までの全工程において、食中毒などの危害を起こしうる要因(危害要因=ハザード)を洗い出し、1つ1つの工程からハザードを低減・除去する手段を設けることで、高い安全性を確保しました。

管理手段を決めるにあたっては、ハザードを評価しなければなりません。そこで、各工程で抽出されたハザードについて、「重大さ」と「起こる可能性」を評価します。

重大かつ起こる可能性が高いハザードが発生する工程は必須管理点(Critical Control Point:CCP)に特定し、厳格な管理手順を設けてハザードを制御します。

一方、軽度あるいは起こる可能性が低いハザードは一般的衛生管理プログラム(主として作業手順書、作業動線の策定など)で管理します。

このように、全生産工程においてハザードを洗い出して評価し、ハザードの重大性に応じて管理手段を決めていくことがHACCPです。すべての工程を、厳格に管理するわけではありません。

これを農場にあてはめると、素畜の導入~家畜の出荷までの生産工程を整理し、1つ1つの生産工程から、病原微生物による感染(汚染)、注射針の体内残留、抗生物質の残留などのハザードを洗い出し、それらを管理する手段を策定していくことになります。

つまり、HACCPの概念(基本思想)は「生産工程の管理」といえます。

このことを理解しておくと、農場HACCPとは、何をすべきことなのか、概要が見えてくると思います。

このように誕生したHACCPは、その後、米国の食品業界で成功を収め、国連のコーデックス委員会で採択されて世界各国に広まり、さらにはISO22000:2005/2018食品安全マネジメントシステムに発展しました。

これらのコーデックス規格やISO規格がどのようなもので、農場HACCP認証基準とどのように関係するかは、次回に解説したいと思います。

 

 

 

 

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