前回のコラムで、「内部検証(監査)」は、組織内部の人間による組織統治の手法であることを説明しました。
つまり、内部検証員(監査員)には、独立性が求められます。
独立性がないと、公平な監査を実施できず、監査結果の信用性も損なわれます。
そのため、第6章1.(4)では、「内部検証員は、自らが所属する部署を検証することは避けること」と記述されています。
ただ、農場で、この(4)の要件を満たすのは大変だと思います。
企業では、監査室や品質管理室といったセクションを設けることが一般的ですが、たいていの農場ではそのような人的余裕はありません。
そのため、それを補完する措置として、第6章1.(5)では、「内部検証への外部専門家の参加」を認めています。
これにより、コンサルタントや行政職員等による内部検証サポートが可能になります。
農場にとっては、助かりますね。
ただし、厳密に言うと、コンサルタントがHACCPチームに入っており、文書構築を指導している場合、そのコンサルタントが内部検証を行うことは、第6章1.(4)への不適合になります。
しかし、内部検証を行うには、農場HACCP認証基準を理解していないといけません。
そのような力量を持ち、なおかつ独立性を保った人が地域でいるとは限りません。
第6章1.(4)の要求事項は、農場で実践するには難しい性質を持っているのです。
そのため、行政や農協などの協力を活用しながら、それぞれの農場で、内部検証(監査)の独立性を確保する工夫をしているのが現状と思います。
今後、農場HACCP認証を改正する際、第6章1.(4)内部検証(監査)の独立性をどのように扱っていくか、農場の実法を考慮して、協議すべきと考えます。