第4章3.(5)では、検証方法の決定(原則6)について記述されています。
HACCP計画における「検証」とは、きちんとモニタリングが実施され、許容限界の逸脱がなく、ハザードが管理されていること、あるいは逸脱があったとしても、適正に是正措置がとられていることなどを、確認することです。
簡単に言うと、「HACCP計画が上手く機能していることを確認すること」です。
そして、検証は目的、方法、頻度(間隔)を定めて、計画的に行うよう、要求されています。
なお、第4章3.(5)①では、「一般的衛生管理プログラム及びHACCP計画が適正に運営されているかをモニタリング記録、是正措置の記録、現場の査察、従事者へのインタビューなどにより確かめること」とあり、突如、「一般的衛生管理プログラム」という言葉が出てきます。
「一般的衛生管理プログラムの検証」は、すでに第4章1.(2)で規定されているので、ここでは、「HACCP計画の検証」だけを考えればよいと思います。
(将来、認証基準の改正が行われた場合、この部分は修正すべきと思います。)
では、HACCP計画の「検証」は、具体的にどのように行うのか?
まず、「モニタリング記録を確かめる」とあります。
これは、たとえば、農場長が月1回、モニタリング記録をチェックし、記録漏れや逸脱がないかを確認することが該当します。
また、毎日、生乳を出荷する酪農場では、「農場長(出荷責任者)が毎日、出荷前にモニタリング記録を確認し、記録漏れや逸脱がないことを確認し、出荷OK(検証)欄に署名すること」も該当します。
次に、「是正措置の記録」とあります。
これは、たとえば毎月のHACCP委員会で、その月に逸脱が発生したか、その際、適切な是正措置がとられていたかを確認することが該当します。
「現場の査察」「従事者へのインタビュー」は、HACCP委員会や内部検証(第6章1.で詳述)で実施する場合が多いと思います。
第4章3.(5)②では、「危害要因分析への入力情報が更新され、危害要因分析が行われ、HACCP計画が有効で妥当なものであるかを確かめること」とあります。
たとえば、原材料や作業手順に変更があった場合、原則として、原材料リスト、フローダイアグラム、作業手順書、動線図等を変更します。
当然、危害要因分析も、それに合わせて更新します。
これが、「危害要因分析への入力情報の更新」と、「危害要因分析の実施」になります。
このような「危害要因分析の更新」の結果として、HACCP計画も変更する場合があります。
つまり、「危害要因分析が更新され、必要に応じて、HACCP計画も更新しているか」、検証することを求めています。
そして、実際には、内部検証で、この検証を行う場合が多いと思います。
第4章3.(5)③では、「モニタリングに用いる機器が定められたとおりに補正されていること」とあります。
HACCP計画のモニタリングに用いる機器は、酪農場における「バルクタンク温度計」、または採卵鶏農場で卵の保冷温度監視をCCPにした場合の「冷蔵庫の温度計」が該当します。
この場合の、「機器の補正」とは、温度計が正しく機能していることを確認することです。
たとえば、バルクタンク温度計では、「3ヶ月に1回、バルク乳をスピッツ管にサンプリングして、ただちに水銀温度計で温度を測り、タンク表示温度と格差1℃以内であれば許容とする」といった検証規定が多くみられます。
そして、1℃を超えた場合には、ただちに業者に修理を依頼するとともに、あまりにも格差が大きい場合は、バルク乳を廃棄するなどの処置が必要になります。
第4章3.(6)では、HACCP計画に関する文書及び記録は、第7章の文書・記録に関する規定にしたがって、作成や保存を行うよう、要求しています。
今まで説明してきた、第4章3.(1)~(6)の事項は、解説書(例)にあるような、1枚の表にまとめることができます。
そして、この表にしたがって、重大なハザードを管理していくことになります。